2009/07/07

1Q84

1Q84

1Q84 BOOK 1 / 村上 春樹 / 9784103534228
1Q84 BOOK 2 / 村上 春樹 / 9784103534235
2009-05-29 / 新潮社

+++ 検索してみたことがら

村上春樹 - Wikipedia

ガープの世界 - Wikipedia

安原顕 - Wikipedia

+++ 気になったキーワード

Q.E.D
# 数学の証明
出口なし
# サルトル?
青豆
# 英語にするとグリーンピース?

+++ 感想

p.182 (Book2)

「説明しなくてはそれがわからんというのは、つまり、どれだけ説明してもわからんということだ」

この台詞はちょっと暴力的に感じた。この言葉を実際に使うことが難しい人々がいるとしたら科学者、医者、弁護士、政治家かな。この台詞は、ただ単に物語に登場する人物の考えを雄弁に物語る上で使われているにすぎないのだろうが、それだけじゃない何か大事なことをはっきりと明確に思い出せと読者を促しているようにも読めた。この人物にそれを言わせているんだなと強く感じた。そういった意味で、この小説から受け取るこのようなメッセージは多かった。それらはメッセージなんかじゃないよと、ヒョーロンカの方々が言ったとしてもこの本を書いた当人が言ったとしても、もう遅い。本は本屋で売られた瞬間から作者の手を離れて一人歩きしてるんだから。まるで空気さなぎと同じように。

小説に書かれたことが現実になるなんて...
といった文章がこの本の中で出てくる。そしてリアル世界でもこの本は売れ続けている。変な感じがする。謎が多すぎる。リアルで怖い感がある。気持ち悪さが残る。この小説はホラー小説だったのかな?と納得してみようと思ったけれども、そうするにはあまりにも無理がありすぎる。その方向は間違いなく明後日の方向だろう。作家が世間を煙にまいて高笑いをしているような印象も受けるがそれだけでは納得のいかない怖さがあるのが非常に気になる。ま、こうして読者にあれか?これか?と考えさせることこそが作家の目的だったのなら、それはみごとに成功していますと報告できるわけだけど。

じっくり謎解きを試みるならば...
「ガープの世界」は読み直すべきかなと思った。ふかえりはガープの母親か?と思ったから。「ガープの世界」の中でガープの母親とプーという女性について語られていることは、確か、女性差別を促すのは女性たち自身なのだという論理を連想させるものだったと記憶している。記憶違いじゃなきゃいいんだけど。そのあたりを今一度さぐるべきなのかも。これも明後日の方向である可能性は高いんだけど...。

謎解きから離れて...
本来のまっとうな宗教が果たしてきた社会的役割は大きい。日本では古来からいろんな神様がまつられてきたし江戸時代の間に庶民に浸透したものも多い。にもかかわらず今の日本では宗教について話しあうことが法律で禁止されているかのごとく、人々はそれについて語りたがらないし避ける風潮があり政治と宗教の話を避けるのは大人としてのマナーです。といった習慣がはびこっている。そのためなのかなんなのか分からないけど、おかしなカルトにだまされる「善意ある人々」が多くいる。彼らはだまされていることを知らない。それは一見カルトのようには見えないから善意の人々である彼らはまさか自分がそんなものにお金を貢いでいると意識できないでいる。彼らはその集団に属すことでなにか救済されると誤解し錯覚し続けている。今現在も進行形で。

周囲の人々はこのような人々をまのあたりにしても、彼らに進言したり忠告するのを非常に難しいと感じてしまう。なぜなら日本における人間関係の常識としてそういった事に口を挟むべきではないとする風潮があるから。これはなにもカルトに限った話じゃない。この商品はねずみ講じゃないと主張する「悪気のない」人をまのあたりにした時に「それは立派な鼠講です。今すぐやめた方がいい」と、一体何人の日本人が相手の目をまっすぐ直視して言えるんだろうか?多くの人は今回に限ってそれを買わない旨を言葉を濁しながら相手に伝えるのが精一杯なのではなかろうか。それを口にできない程度の浅い関係なのだとは納得できないままに...。

政治と宗教とねずみ講を論理的に話しあうこと、を一億総勢で避け続けお互いの空気を読み続けてきた結果、そのしっぺ返しとして用意されたものは何か?それはカルトが国をのっとろうと企てていると知らされたことなんじゃなかろうか。why? や No を言わないことを古き良き日本の風潮として温存した結果がこれだったとはね。ブッシュの8年に匹敵するあるいはそれ以上におぞましい事態なのかもしれないと思った。

今は2009年だけど、確かに恐怖の質を変えた1984年はとっくの昔に到来していたのかも。

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