2009/07/04

アンティキティラ古代のギリシャのコンピュータ

アンティキテラ古代ギリシアのコンピュータ / ジョー・マーチャント / 文藝春秋 / 978-41637-14301

p.247-248
紀元前三世紀に、アリスタルコス(紀元前310-230)という天文学者が、太陽は地球よりも何倍も大きくて重いと考えた。それゆえ太陽が地球のまわりを回っているのではなく、地球が太陽のまわりを回っているのだ。彼はまた、昼と夜が起きるのは、地球が自転しているためだとも考えた。......(結局、十数世紀ものちにケプラーの楕円軌道説が出るまで、太陽中心説はかえりみられなかった。)

およそ1000年以上ものあいだ西洋の人々は現在の天文学の常識とは異なった世界観を前提にしちゃってきたわけだから、今の私たちが「あったりまえじゃん」としているようなことの中にも、未来の人からみたらおかしいと感じることがきっと多々存在しているんだろう、と今更ながらに当たり前のことについて考えていたらなんとも不思議な気持ちになった。
往々にして科学は進化するものだと考えがちだけど、もっと誤った世界観を押し広げて今よりももっともっと退化する可能性だってあるわけで、アリスタルコスがコペルニクス以前のヨーロッパの宇宙観を見知ってしまったら絶望したまま墓の中に舞い戻ったろうし、ニュートン以降の時代にタイムマシンでやってきたら歓喜のあまり失神したかもしれない。
つまり、すごく長い目でみた時、科学の発展はまっすぐな一本道を辿らずに一歩進んで三歩さがる(時には10歩戻る)くらいのぐにゃぐにゃした道を辿って進化してきたってことをこの本は教えてくれる。
ということは、これからもそうだし「今現在」もそうなんだろうと考えるのが自然なんだろうな。たぶん。

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