2009/03/23

未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? ~世界一わかりやすい経済の本~ (扶桑社新書)

Book /「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? ~世界一わかりやすい経済の本~ (扶桑社新書) / 細野 真宏 / 扶桑社

この本は「年金問題」を社会保障問題としてとりあげる本じゃなくて年金に関する「一般共通認識」を深めるための入門書なので諸問題はあえて無視しているのだろう...と思う。そこはちょっと教科書のような語り口。ただし教科書では教えてくれない大切なことが詰まってる良書。
以下、読書中感想。
p.158

「未納者」というのは、「国民年金」において全体の 5% 程度の話に過ぎないのです!。

p.159 の一覧表によると
公的年金加入者 7012万人の内訳
1号保険者は 2035 万人
2号保険者は 3914 万人
3号保険者は 1063 万人
1号保険者の内訳
保険納付者 1209 万人
免除者 315万人
特例者 猶予者 203万人
未納者 308 万人
未納者308万人。公的年金加入者7012万人と記載されている。実際計算してみると、308 割る 7012 は 4.3(以下切り捨て)著者の言うとおり未納者は5%にも満たない。
では、未納率が6割などといった報道は一体どこの数字に対する6割だったのか?この表をたより6割に一番近い数字を得られるのは、2号保険者 3914 万人 を対象にしちゃった時だ。3914 割る 7012 は 0.55(以下切り捨て)
まさかね。2号保険者ってすなわち厚生年金加入者なんだから未納にしたくてもできない人たち、まさかそこ間違えないよね...どこをどう間違えれば「6割が未納」なる報道に至るまでをひきおこしたんだろか。数字のどこかにその手がかりをみいだしたかったけど...わからず。
ま、著者の方も書いてるとおり、とにもかくにもマスコミによる報道をうのみにしないのはとても重要。と。
この本の極意はここかな。
p.162

その未納者には年金を支払う必要がないので、その「未納者ぶんの保険料」が「年金積立金」から減っても、特に問題は起こらないのです。

なーるほど。確かに!。なっとく。
ちょっと気になる箇所
p.154

「税方式」論の「間違い」とは?(1)

この見出し、「税方式」論の「間違い」とあるので、あたかも「税方式」による案がかかえる脆弱性の根拠でも書かれてあるかのような見出しだが、ただ単に「税方式論を推進する一部の人の一部の現状認識の誤り」について語られているに過ぎなくて「税方式論」の見通しの甘さや提案された運用方法に対する試算の誤りを指摘説明するものではない。と私は思うのだけど、このあたり、なにかしら経緯でもあったんだろうか?
前半からの、流れるようないきいきとしたテンポがここでポキンと途切れるような印象を受けてしまった。
もう1点。
p.187

増税ぶんを社会保障費に使う(自分たちの将来の安心のために使う)ことでキチンと国の社会保障の安心につながれば...

と、まるで「明日晴れれば」と同じくらいにさらりと書かれてあるのだけど、消費税がキチンと安心のためには使われる保証がなんてあるのかいな?。むかし消費税が5%になる時「福祉税」って呼ばれていたのに、その後高齢者の医療費高くなったし介護年金できちゃったし一般の人の医療費も高くなったし、リハビリ受けられなくなって(前は受けられたのに)困ってる人続出してるし国民年金だって値上がったし障害者の人も大変な目にあってるみたいだし病院もつぶされるくらいいじめられてるし年金払ったのに記録がなかったとか、あとなんだろ他にも...この5,6年の間に日本の社会保障はぼろぼろになりましたよね。そして、グリンピア...。と。
それで、あの福祉税(現在の消費税)てなんだったのよ。と疑問は残ったままなわけで。今度消費税があがる時はこのお金は社会保障以外に絶対に使いませんって憲法なみの拘束力もったパワフルな法律でも定めてもらわないと、とてもじゃないけど安心に近づけないのでは?「福祉税」て呼び名に聞き覚えのある世代はまだまだ老人にはなってないので、消費税増額と聞くとあっ!福祉税と思い出さなくてもいいことまでつい思い出しちゃう人もいたりして...さ..。
オバマ大統領の活躍が華々しいだけに日本とアメリカのその差がますますくっきりと浮かび上がってしまう今日このごろ。。。
# 2009-05-16 category 変更

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